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自然栽培vol1

2017年03月07日
ご訪問頂きありがとうございます。

木村秋則さんが2014年冬から発行している『自然栽培』という季刊雑誌があります。この中で連載されている木村さんの記事をまとめておきます。

日本の「農」には可能性がたくさんある。
これほど豊かな水と土に恵まれた国は世界に類を見ない。
おいしくて安心できる「食」を育み、美しい自然を未来に残したい。
「自然栽培」が目指すのは、高品質で生産性が高く、持続可能であること。
人と自然がつながりをもちながら、作物が育ちやすい環境を整えていくこと。
命の力を発揮させる、その考えと技術は、誰もがすぐにでも活かすことのできるものだ。

自然栽培とは、肥料・農薬・除草剤などの農業資材を使わずに、自然本来の力を活かす栽培。

植物は、太陽・水・土があれば育ちます。さらに愛情があれば作物は育ちます。

・土を活かす
・作物の根を活かす
・雑草を活かす

土は命の塊。肥沃な土1gの中には何億もの微生物がいます。
作物が元気に育つためには根が健康でなくてはなりません。
雑草は夏の日差しや冬の寒さから土壌を守ることによって、ひいては微生物を守り、微生物から栄養を得ている作物を守るのです。

適地適作
水はけのよい農地が良い。
水はけが悪い時には溝を掘って土を乾かす。
水はけの良くないところでは、サトイモ、三つ葉、クレソン、なすのような多湿を好む作物を育てる。

土本来の力を発揮させるためには、土をよく見る。
圃場のにおいをかぐ。
肥料・農薬・除草剤を使用している土には匂いがない。
酸欠の土は掘り起こすと青っぽく臭い。
未熟堆肥を使用している土は嫌な臭い。
      ↕
雑草が繁茂している土や山の土はツーンとした独特の匂い。
これは菌やバクテリアが発する匂い。
代表的なのは放線菌。
放線菌は土の中の有機物を分解し、抗生物質を生産する。
肥料等を使用しないと、放線菌が発生していい土づくりをしてくれる。

土の温度を測る
肥料や農薬、トラクターを使用すると地上から20~30cmのところに硬盤層(こうばんそう)という温度の低い層ができる。
これは、水分が多い、肥料・農薬の使い過ぎ、圧縮されて空気が入らないために起こる現象で、バクテリアは働くことができない。

土がずっと湿っていると酸素が入っていかないため、微生物が活性化せず、有機物の分解が進まず、腐敗したり病気が発生したりする。

そのため、土を乾かすことが大事!

硬盤層を壊すには小麦を蒔く。
小麦の根は80~100cmの深さにまっすぐ伸び、余分なものを吸い取ってくれる。

大豆を蒔いて、窒素分を土に蓄える。

土を作るのは雑草。
草の根の周りには、草の種類に応じて色々な微生物や菌、バクテリアが集まり、種類が多ければ多いほど多様な環境になるため、病気が発生しにくくなる。

雑草を緑肥としてすきこまない。
窒素過多になり、害虫や病気の発生原因になる。


農薬・肥料なしで美味しい野菜が作れるのでしょうか?
ここでは、固定観念の打破が求められます。

戦後の何も無いとき、畑にはもちろん農薬等を撒くことはできません。
その時の野菜は小さくまずかったと父は言います。

そのため、無農薬・無肥料だけでは自然栽培はできないのです。
土の中に空気が入る→微生物が活性化→多様な植物が生える→微生物が多様化→連作障害や病気が発生しにくい畑になる→作物が元気に育つ→…と良い循環が出来て、美味しい野菜ができると考えます。

この手間を惜しんで農薬と肥料に手を染めると、微生物が不活性化し、植物の根も張らず、土中の空気も少なく、さらに微生物が働かず、作物を育てるためにますます農薬や肥料に頼り、さらに微生物は不活性化するという、悪循環になるのでしょう。

3年位自然栽培をしていますが、毎年、失敗の連続です。
でも、美味しい野菜が採れたり、美味しかったよって言われると、すっごく嬉しくなります。

フユノサムサニモナツノアツサニモマケナイジョウブナカラダトココロが欲しいです。

固定種

2017年01月31日
ご訪問頂きありがとうございます。

『固定種野菜の種と育て方』から、固定種の種採り方法をまとめておきます。

奇跡のリンゴで有名な木村秋則氏と同様に、この本の著者さんも「肥料を与えるから作物は弱くなる」「肥料の量と農薬の量は比例する」とおっしゃています。

これは、肥料を与えると植物は自分で栄養を取りに行く必要がないため、根も育たず、細胞はゆるゆるとなり病害虫に対して抵抗力がなくなってしまうためとのこと。

無農薬・無施肥栽培の自然栽培では、本来の土壌の生態系を取り戻すことで作物も本来の姿を取り戻していくと考え、その有効な手段が「種採り」と「連作」としています。

これは、種を蒔いて育った中から病害虫に強く生育の良かった株から種を採り、またその場所にまくというものです。

作物は毎年、病害虫や猛暑などの好ましくない環境と戦い、何とか対抗する術を身に付けようとして、次世代のためにその術を種の中に記憶します。そのため、種採りをする必要があるのです。

連作するのは、土壌は場所により水はけ、微生物形態、土壌ph等異なるため、作物の記憶を有効にするために、同じ環境で連作する必要があるのです。

私も3年ほど連作したのですが、昨年はジャガイモにそうか病が出てしまいました。この原因は、ナス科の作物は連作障害が出やすいためか雨が多かったためか不明です。

今年は、別の場所と同じ場所に種芋を植えてみて様子を観察したいと考えています。農作物は一年に一度しか実験できないため、もどかしいです…。

毎年、早春の端境期にできる地場野菜のカキナは、20年以上種採りをしていて、美味しいく育つので、種採りは重要だと経験的に分かりますが、作物によっては違うのではとの疑問がぬぐえていません。

農業はとっても奥が深いと日々感じています。

ご訪問頂きありがとうございます。

開店前の時間があるうちに農業(自然栽培)について備忘録的にまとめておこうと思います。

農業を始めたときに、農家仲間から勧められた本が、『固定種野菜の種と育て方』野口勲 関野幸生 創森社です。この本が私の背骨になっています。

F1種について
・種には、固定種(大昔から人類が作り続け、種採りを繰返しながら品種改良をしてきた種)とF1交配種(複数の親から異なる形質を受け継いで、優性の均一形質を現すメンデルの法則の一代目の種子)があります。

・現在、スーパーで売られている野菜はほとんどがF1種の野菜です。F1種の種から種採りをすると親の劣勢遺伝が出現するため、同じ野菜を作ることができず、毎年種会社から買うしかないのです。
 ↓
 極論すると人類の生命線である食物が種苗会社に握られてしまう

・F1種が求められる理由
 ①均一的で美しい野菜を求める市場の要求
  陳列・運搬のしやすさ、機械加工のしやすさ、味が薄いため料理がしやすい
 ②生長のスピードの速さ
  植物の雑種優性(ヘテロシス)ゆえ、畑を何度も回せて生産効率が良い
  例えば、固定種の大根は3か月かかるところF1種の雑種は2か月位のものもある。
  ↓
 大量生産・大量消費社会の要請から生まれた

・F1種の種づくり
 雄性不稔(花粉が不全なため自家受粉できない遺伝的な欠陥)の株の近くに、掛合わせたい性質をもつ健全な株をおくことにより、F1種を作っている。
 ↓
 遺伝的にエラーのあるものを口にし続けることの潜在的な危険性

・F1種は遺伝的に同一であるため、病害虫被害が発生すると全滅する恐れがあり、その栽培に農薬が必要
 
口に入れるものが遺伝的に欠陥を持ち農薬が不可欠という危険性と使い勝手の良さ、見栄えの良さ、生産性の良さという商品性を天秤にかけるとき、皆さまはどちらの野菜を選びますか?