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腐る経済①

ご訪問頂きありがとうございます。

『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』渡邉格(講談社)
を今読んでいます。

面白いです。鳥取県にあるタルマーリーというパン屋さんが書いている本。
自然の摂理は、平家物語の様に、諸行無常であり、形あるものは常に変化し、盛者必衰の理に従っています。
自然物、例えば植物であれば、発芽して成長して枯れて微生物の働きにより土に還り、その土の上に新たなタネが発芽してとういう循環の摂理に従っています。

しかし、資本主義は人間が作ったシステム(自然の摂理に反するシステム)であるため、資本主義の中では、お金は腐らず増殖する一方。

資本主義の中では、生産手段を持たない労働者はその労働力を「商品」として売る。その労働力が誰にでもできるものであれば、替えが効くため、安く買い叩かれる。替えが効かない労働力であれば高値で買って貰える。

資本主義は、より多くの利潤を追求するシステムのための技術革新が今も世界中で行われている。

この技術革新は、一体誰の役に立つのか?

技術革新により、労働者は長時間労働から解放されるため、短期的には労働者の利益にもなる。また、技術革新により大量生産が可能になるため、商品の価格も下がるため、消費者であもある労働者の利益になる。
しかし、技術革新により誰にでも出来る仕事となってしまうと、替えが効くため、労働力の商品価値は下がる(単純労働化)。また、商品自体の価格も下がるので、賃金は更に下がり、長い目で見れば、労働者の利益にはならならない。

マルクスは、この事を、技術革新により「食」(生活必需品)の価格の下落が「職」の価値を下げるとしています。

最近のことに当てはめれば、AI問題。
ほとんどの職はAIに置き換わるという危機。AIに置き換わってしまうということは、生産手段持たない労働者は売る物が無くなるということで、売る物が無いということは、市場から生活必需品を得られないとこを意味します。つまり生活の破綻です。マルクスの時代よりも重大な危機が目前にあるのです。

では、資本家の利益になるのか?
他社に先駆けて技術革新出来れば、他社が追いつくまで利益を上げられるかもしれないが、他社がより合理的な技術革新をすれば市場から撤退を余儀なくされる恐れがあるため、チキンレースのように戦々恐々の過酷な競争に身を晒さなければならない。これは、資本家にとって、決して利益とはいえない。

極論を言えば、資本家はライバルがいなくなるまでこの競争を続けなければならないのです。

ライバルがいなくなれば価格設定も自由となり、利潤を最大化できますが、価格が高くなれば消費者の購買力無くなるため、在庫が増え、操業時間が減り、リストラの嵐が吹き、治安が悪化し、社会保障費が膨らみ、税金が増え、資本家の負担も増え、誰も幸せになれないのです。

つまり、資本主義の中にいたのでは、誰も幸せになれないと本書の前半では言っています。幸せになるためには、自然の摂理の中で生あるものはいつかは腐敗するという「腐る経済」の中に身を置く必要があると。

さらに、本書の中で、パン屋さんに小麦アレルギーの多いことが触れられています。これは、いわゆるポストハーベストの殺虫剤によるアレルギーで、鼻炎や肌荒れが起こるとの事。
小麦は外国で収穫されて二週間船に乗って日本にやって来るので、その間虫が湧かないようにまかれる殺虫剤が原因。

国産小麦であればポストハーベストの殺虫剤が撒かれないので、国産小麦のパン屋さんに転職したら筆者さんのアレルギー症状は無くなったそうです。

当店は自家栽培した無農薬小麦をメインとして無くなった時に国産小麦を使用しているのでこのアレルギーになる心配が無いことに安堵しました。

星の王子さまではないですが、大切なことは目には見えないのですね。しみじみ。

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